夕焼け色に染まる頃
それが何か、私には聞き取る事が出来なくて。
ぱちくりとなおも凝視していれば、高杉さんはくすりと苦笑をした。
こちらに伸びてくる手。
「なんだよ、お願いって。俺が聞けるかぎりなら聞いてやるけど?」
ポン、と優しく撫でられる。
それがひどく、心地好い。
「聞くだけなんですか?」
「……馬鹿たれ」
さぁと風が吹いて、私の髪の毛が靡いて――……それにあわせて手櫛をすれば。
指先は手の中に残った髪の先っちょを弄び始めた。
「叶えてやる、そこまでいうならな。なんたってお前は、」
その感覚があまりに心地好くて。
うっとりとしていれば急にピンと一束の髪の毛が引っ張られた。
「うっ!?」
少ししか力は入れられてなくて、そんなに痛くなかったはず。
なのに私はよろめいて、気付いたら高杉さんの唇が耳元に来ていた。
「俺の女だから」
「―――……な、」
急激に頬へと上る熱。
高杉さんの吐息が掛かる耳たぶがジンジンする。
ただただ、その言葉の意味を理解しようと頭が動くのに思うように回転してくれないんだ。
「なぁん、ちゃって。いい反応するじゃねぇか、ウブだねぇ」
ケラリ、爽快に高杉さんは笑って。