夕焼け色に染まる頃


これが時代の差か、と感心したモンだが。

そうか、環境が変わると本人も変わるか。

いや、アイツの場合は成長、だろうか。

――……大人っぽく、なりやがって。


「おや、どうしたんだね高杉君。柄にもなくにやけているではないか」


「その声は……伊藤。……と、その仲間達」


「コラ」


「晋作、それは一体誰の事だい?」


「小五郎。……と、石川」


スコーン、とお玉が飛んできた。

あぶねぇ。

……小五郎の奴、まだ諦めねぇて料理してんのか……?


「にやけて、……ねぇっつの」


奴らがいるのは厨房だろうか。

しかし伊藤。

あなどれねぇなぁ、なんで俺の頬が緩んでいるとわかったんだ。


「嘘つきだな、高杉君」


「嘘つけ」


「嘘だね?」


……。

こいつら三人共、一応声は聞こえていようと俺の表情なんて見えない所にいるはず、なんだぜ?


「伊藤、石川、小五郎。――………いっぺんくたばれ!!」


あぁ、いつも通りだ。

夜には挙兵が待ち構えているっつぅのに、至ってありきたりな昼じゃねぇか。


――……きっと俺は、怪我しねぇさ。

約束しちまったしな、叶えるってよ。


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