きゃらめる味の幽霊


カンカンと音を立てて階段を下る。



「証明するって、どうやって?」


「……多分、他の人に私の姿は見えないと思うの」


そう言ってコンビニに入る。さっきの店員が気だるそうに挨拶した後チラリとこっちを見た。



その途端、彼女はタタっと駆け出して、カウンターに座った。そして、こっちにピースした。


慌てて店員を見ると、一人で挙動不審な俺を見て訝しげな表情を見せたが、すぐにまっすぐ前(自称幽霊さんとの距離およそ10センチ)に向き直り、あくびをかみ殺していた。



「あ、いい所に!!」


自称幽霊が嬉しそうに言った。彼女の目の先には、買い物を終えてレジに向かってくる見た目ヤンキーの男がいた。そいつも、彼女の存在には気が付いている素振りは見せない。



「見ててね」


彼女は俺に呟いた後、ヤンキーの男がレジの前に立ったのを見計らってカウンターから降り、そのヤンキーの身体を「通り抜けて」こっちにやってきた。


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