サンダルウッドにくるまれて
吸い込まれそうなスミレ色の瞳に見つめられる。


むせ返るような香り。


ああ、さっきの強烈な香りは、この人だ。
この人の身体から、溢れるように匂い立つ。


相変わらず何かを話してくれるけど
私にはさっぱり分からない。


諦めたのか、私の目元に掌をかざす、その人。


途端、何も考える事が出来なくなって、私はそのまま意識を手放した。

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