あぶのま!【SS】




「だってねぇ真佐。見てよ、」
「………………嫌だ」
「……もう、なんでグロいの苦手なくせにそこに座ってんの」

それさえ気にしなければカヨの隣にいるのが心地よかったから、というのは、言っても意味が無いのだと経験から学んでいる(そして俺はグロテスクなものが人よりちょっと苦手なだけで別にへたれではないつもりだ。一応言うこと言ってるし、そこそこ頑張ってアプローチもしてる)。

抱き着いても告白してもぴくりともしなかった精神を持つ彼女は、また、画面に目を移した。
視線の先にいるのは、殺人鬼に惨殺された男。
らしい。

そして俺にとっては失恋の宣告と似た、他の人が聞けば狂っているとしか思えない一言を、彼女は満足げな溜め息と共に吐き出すのだ。

「あたしだったら、自分が男でも惚れそうなのに」

カヨは、死体や傷を愛する女だった。




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