生き残れ!主従ゲーム


抱かれて高くなった視線のまま、コレーは後ろをじっと見る。目は良い方なのでそれなりに今まで通ってきた道を見通すことが出来た。というのも誰もいないからなのだが、とりあえずコレーは気にせず視線を前に戻した。
ようやく、林が抜けれそうだと気付いたのは遠くが茜色にふわりと明るくなっていたからだった。

「あ……。アテナさん、もうすぐ出れそうです」
「みたい、だな……時計を持っていないからあと何時間かが分からないのが気になる…」
「アテナさんが頑張ってくださいましたから……絶対に間に合います」
「…役に立ててるなら、良いんだ」

コレーは自分は休憩も出来たし入口も近いからと言って、アテナの腕から下ろして貰い、再び二人で一緒に走った。夕日が赤いと思っていたが、既に沈みかけていた。

「…日没だな……夕方すぎ、くらいか…」
「あの、今の時間はともかく…12時間って、向こうに何時に付けばいいんでしょう…」
「会場にいる時に…どのくらいだったか。多分0時以降ではあってもあんまり何時間も無いだろうな」

キョロキョロと見回していたアテナが、結構な人数の人だかりを見つけて不審な目を向ける。どうみても穏やかな空気とは言えない。きつい視線を送るアテナの目線を辿るコレーも、人だかりを見つける。

「…なんでしょう?」
「参加者たちだよな、アレ。……行った方が良いのか、行かない方が良いのか分からないな」
「見に行った方が良いかも知れませんが…」
「………。いや、良い。先を急ごう、途中で何かクリアしなければいけないなどと聞いてはいないから」
「あ……そうですね、はい。後どのくらいですか?」
「んー…林を抜けて、このくらい…か」

懐から地図を開いたアテナは地図上の距離とここまでに掛かった大体の時間を計算しているらしい、ドキドキしながらアテナの言葉を待つコレーは引っかけていた斜め掛けのポシェットをぎゅっと握りしめる

「……休みながらでも4時間くらいあればつくと思う。日没からそこまでたってないから、余裕で辿りつけるだろうな」
「よ、良かった…」
「コレー、まだ走れるか?」
「はい! 全然大丈夫です、頑張ります!」
「休憩はいつでも挟めるから、疲れたら遠慮なく言うんだぞ?」
「分かりました!」

満面の笑みを浮かべるコレーに安心したのか、よしよしと頭を撫でたアテナ。思わず顔を赤らめるコレーにちょっといじめ甲斐がありそうなどと思いながらも、道を行く。
そんな二人の後ろをつけている者があるとは知らず…。
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