僕じゃない
僕はたくさんの僕に囲まれ
テレビの中の、次のニュースを読むことのないアナウンサーの僕にじっと見つめられ
ずっと出っ放しの被害者の僕に睨まれていた。
テレビの前の僕は僕で暑いのなんかとっくに忘れて、冷えてしまった自分の汗が蒸発するのを感じていた。
近くでパトカーの音がする。
たくさんの僕が僕から引き離されていく。
ドタドタとすごい足音で、何人かが僕を囲んでいく。
抵抗することも、今の僕には出来ない。
ただ目だけ見開いて、瞬きが出来ない。
いつまでも動かない僕の腕を一人が掴み、そうして僕の顔を確認して、言った。
「僕を殺した犯人を確保しました!」
警官服を着た僕が叫んだ。
後ろで野次馬になっているたくさんの僕も歓声をあげ、皆口々にこう叫んだ。
「よくも僕を殺したな!よくも僕を殺したな!この僕殺し!!」
目の前のアナウンサーの僕も被害者の僕も嬉しそうに微笑みながら、僕が連れて行かれるのを見送った。
テレビの中の、次のニュースを読むことのないアナウンサーの僕にじっと見つめられ
ずっと出っ放しの被害者の僕に睨まれていた。
テレビの前の僕は僕で暑いのなんかとっくに忘れて、冷えてしまった自分の汗が蒸発するのを感じていた。
近くでパトカーの音がする。
たくさんの僕が僕から引き離されていく。
ドタドタとすごい足音で、何人かが僕を囲んでいく。
抵抗することも、今の僕には出来ない。
ただ目だけ見開いて、瞬きが出来ない。
いつまでも動かない僕の腕を一人が掴み、そうして僕の顔を確認して、言った。
「僕を殺した犯人を確保しました!」
警官服を着た僕が叫んだ。
後ろで野次馬になっているたくさんの僕も歓声をあげ、皆口々にこう叫んだ。
「よくも僕を殺したな!よくも僕を殺したな!この僕殺し!!」
目の前のアナウンサーの僕も被害者の僕も嬉しそうに微笑みながら、僕が連れて行かれるのを見送った。