マカロンの音色[side:she]
話しかけられてる…!
あっ、返事っ!
「あ、その、甘いのあんまり得意じゃなくて…」
匂いは平気なんだけど…
って私何言ってんの!?
今すごい感じ悪いよ!
せっかくの好意を無駄にするなんて…
あぁーでも恥ずかしくて目見れない。
「え、そうなの!?
甘いの苦手なんて…
俺お菓子とかすごい好きだからなぁ。
あ、ジンジャークッキーはあんま甘くないよ。どう?」
目を丸くした後、そう言った彼は、持ってた少し大きめの紙袋から四角いそれを1つ取り出して私に差し出した。
…やばい、嬉しい。
心の中では慣れない状況に若干パニック気味だったけど、それよりも喜びの方が勝る。
「ありがとう…」
私は震える声と戸惑いがちの手でクッキーを受け取り、口へ運んだ。
「うまいっしょ」
「美味しい…」
本当に甘くない。
てか店に出せるよこのクッキー。感動しか出てこない。
「すごいね!」
「え?あ、ありがとう」
あ、照れてる。
褒められるといつもその顔になるよね。
ちょうど高1の今くらいかなぁ…