あなたの隣は…(短編集)
朝の慌ただしい駅を抜けて、高校に向かう通学路。
春になったばっかりで、まだまだ肌寒くてみんなマフラーやコートを着ているのに、唯一、セーラー服でスタスタと歩く女生徒が1人…
「瀧沢先輩!!」
あたしは、後ろから駆け寄って来た女の子3人に、振り返って微笑みかけた。
頬を赤らめて小さな包みを差し出してくる、その子達はあたしの部活の後輩だ。
「あのっ…これクッキーなんですけど、作ったんで、食べてください!!」
「うん。ありがとう。」
慣れた手つきで、クッキーを受け取り、ホッとしている後輩に笑いかけた。
後輩達は、勢いよく頭を下げると学校の方に向かって走って行った。