あなたの隣は…(短編集)

何だ、何があるんだ、と考えているうちに、アッと言う間に放課後になった。

あたしにはまだわかっていなかった。


あたしは大人しく教室の自分の席に座って、いつの間にか鞄だけになっていた静の席をぼーっと見ていた。
ガラッと扉が開く音が聞こえて、そちらを見ると、隣のクラスの風間 春斗(カザマ ハルト)君が居た。

春斗君は男子バスケ部の副部長をしている。
だからか話す事が多くて、結構仲良しだ。


「瀧沢。居てくれたんだ。」

優しく、安心して呟くように言った。

「へ?あ、てか静知ってる?」
「静君は…多分、屋上とかで時間潰してると思う。」
「は?」

申し訳なさそうな表情の春斗君は、軽くうつ向いてこっちに近づいて来た。

「静君に、頼んだんだ。お前に残っといてって伝えるように。で、本題なんだけど……」


伝えるように…って事は、あたしに用があったのは春斗君か。
何だ…期待したあたしが馬鹿みたい。


「って、聞いてる?瀧沢?」
「あっ、ごめん。何?」
「だからっ…付き合ってほしいんだけど…?」


一瞬、あたしの周りの時間が止まった。


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