あなたの隣は…(短編集)
「返事は、よく考えてからにしてくれない?今、フラレるとちょっとキツイから。」
そう言って、春斗君は教室を出ていった。
あたしは何時間その場にいたんだろう…
静が、あたしに声をかけるまであたしはずっと動かなかった。
「おーい!優ちゃーん!?生きてる!?」
「……静。」
「良かった、一応生きてるみたいだね!!」
ぎこちない笑顔で、静は言った。
「……お前、知ってたのか?春斗君が、そのつもりでいたの。」
「…知ってたよ。」
静はそれっきり、何も言わなかった。
静は、春斗君の気持ち、知ってて協力したんだ…
なんだ……
告白してないのに、フラレてんじゃん、あたし。
だってもしあたしが、静の好きな相手だったら、静は協力なんてしないもんな。
他の野郎に、告白させて、くっつけるような事、しないもんな……
あたしと静は、いつも通りに2人で帰ろうとしていた。
けれど、あたしは堪えきれなかった。
「ごめん、先、帰る。」
「え!?優ちゃん!?」
あたしは、追い掛けて来る静を振り切る為に、全力で走った。