あなたの隣は…(短編集)
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「ごめん、春斗君。あたしは、春斗君の事好きだけど、友達としてなんだ…。だから、気持ちには応えられない。」
放課後の屋上で、あたしは春斗君を呼び出して春斗君と向き合っていた。
辛そうな春斗君の顔を見ると、あたしがとてつもなく悪人のような気がして、胸が苦しくなった。
「……そっか。なんとなくわかってた。瀧沢、好きな奴、居るだろ?」
春斗君は明らかに無理してる笑顔で、そう言った。
「…うん。」
「…そいつと、上手くいくといいな。ごめんな、急に。ありがとう。じゃ、これからも前と変わらずよろしくな!!」
あたしが頷くと、春斗君は本当の笑顔であたしに右手を差し出した。
優しい。
優しすぎるよ、春斗君。
あたしには、勿体無い人だよ。
春斗君には、あたしよりも、もっと良い人が似合ってるよ。
そういう意味を込めて、あたしは春斗君の右手を握り返して、笑顔で頷いた。