あなたの隣は…(短編集)
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目を覚ますと、真っ白の天井が見えた。
夢か…
ゆっくりと体を起こし、窓の外を見ると夕日の眩しいオレンジの光が、私の目を刺激した。
私は、コンサートが終わった直後に喉の調子が悪くなり、そのまま入院となった。
思ったよりも状態が悪いらしく、2週間はようすを見ながら体調を整える為に手術は延期になった。
「日向姉ちゃん。」
暫く夕日を見ていると、突然、可愛らしい女の子の声が聞こえた。
ドアの方を見ると、声のイメージと同じ様な可愛らしい長い黒髪の女の子が、クマのパジャマ姿で立っていた。
「皐月ちゃん。来てたの?」
女の子は、時沢皐月(トキサワ サツキ)ちゃんと言う名前で、肺炎で小児科の方に入院している。
肺炎ももう治っていて、明後日には退院が決まっている。
「今日は何を歌おうか。」
皐月ちゃんと会ったのは、入院した次の日。
1人病院の屋上で『IF』の歌を歌っていた皐月ちゃんを見つけ、思わず声を揃えて歌っていた。
小学2年生だと言う皐月ちゃんは、とても歌う事が上手で、歌っている姿を見ると無性に歌いたくなり、それからは毎日私か皐月ちゃんの病室、又は屋上で一緒に『IF』の歌を歌った。