あなたの隣は…(短編集)
私はこの先輩に、昨日告白され…よくわからない状況にいる。

「恵ちゃん、ラブ!付き合え!明日の放課後、屋上な!」

それが彼の告白内容だったから…


それを思い出し、自然とため息が出た。


本当に好きなら、あんな告白をするか?
しかも、ここ(屋上)に来た途端に質問の書かれた紙をつき出して「プロフィール書け!」なんて言うか?

そもそも私、この人と喋ったことないし。
よくも知らない相手に、よく告白できるな…

てか、外見なんて並中の並なのに…

もしかして遊ばれてる?


それならそれで、別にいいんだけど…

別に傷つかないし、悲しくもない。虚しくも、辛くも面白くも楽しくもない。


…しかし、私は何故こんなにも、見つめられているのだろうか…


こんなにも真っ直ぐだと、目を反らす気にもならない。

恥ずかしさも戸惑いも感じないまま、私も先輩の瞳をみた。


整った顔にある2つの濃い黒の瞳。
明るい茶色の髪には、ちょっと合わない。


「…恵ちゃん、髪のお手入れって、何してるの?」

突然のどーでもいい質問に、私は一瞬足の力が抜けた。

ガクンッと傾く体を瞬時に支えたのは、転がっていたはずの先輩だった。


先輩に肩を支えられたまま、固いコンクリートの上に座った。

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