あなたの隣は…(短編集)

それでも女の子の姿だけでもと思い、入学式の日、首を伸ばしてそのケイちゃんを探した。

そしたら、見覚えのある、栗色のフワフワした髪の毛が見えた。

俺はケイちゃんの事なんて忘れて、ずっとその子を見ていた。

どこかで見たことはあったが、覚えていなかったんだ。

そして、入学式が終わってからすぐにケイちゃんがあの栗色の髪の毛の子だと知った。

俺はそれ以来、ケイちゃんを意識して見ていたんだ。
体育でこけているのも見たよ。

でも、話しかけることは無かった。
俺とケイちゃんには共通点が無いし、話題も無いから話しかけた後をどうしようって思って…

でも文化祭の日、そのケイちゃんの絵が体育館の一面に張り出されているのを見た時、俺は体の奥が疼き、自然に身震いしたのを感じた。

雪景色の水彩画。

似ていたんだ。
中3の時に見た、コンドウ メグミちゃんの絵と。

ビックリしたとかいう表現では表せれない程に心が跳ねた。

俺はどうしても、話かけたくなった。この絵を描いたケイちゃんに。


でも、ちょっと躊躇したんだ。
突然話してどうする?って。

でもあの日、そんな事どうでもいいって思える事があった。


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