あなたの隣は…(短編集)
「プロフィールを書けって言ったのは、俺が恵ちゃんのことを知りたかったから。俺は、恵ちゃんの絵と姿と名前しか知らなかったから…そしたら恵ちゃんのプロフィール、凄いおもしろくて…思わず大声で笑っちゃった。緊張してたのも忘れて。」
先輩、緊張してたんだ?
すごい豪快に笑ってたのに…
私が思わず笑うと、先輩も私を見て笑いかけてきた。
その顔は、柔らかくて和やかで、優しかった。
「恵ちゃんの髪のことを聞いたのは、丘の時の女の子も栗色だったから。あの年から染めてたんなら、凄い痛んでるはずなのに恵ちゃんの髪はあの時と変わらずに、フワフワで綺麗だったから。」
…栗色は地毛だと言ったほうがいいのだろうか。
私の祖母がフランス人で、もともと髪と目の色素が薄い。
「どうでもいいことなんだけど、欲張りなことに、恵ちゃんのことは知りたかった。」
先輩は穏やかな顔をして、私の髪を優しく触った。
ドキッとした。
顔が赤くなったのが、自分でもわかる。
「恵ちゃんが俺の髪を触った時、ドキッとした。顔が熱くなって、気づかれるのが嫌で顔を反らした。なんか失礼だったね、ごめん。」
申し訳なさそうに言う先輩は、今までで1番かっこよく見えた。
謝ってる姿がかっこいいとか…何か変なの。