あなたの隣は…(短編集)
私が好きなのは冬の早朝。
澄んだ空気に町は洗われ、新しい世界へと変わっていく。
毎日が同じだと思っている世界は、毎日何かが違っている。
新しい世界は、悪いようにも良いようにも変わり、次の日にはまた変わる。
全く同じ日なんてない。
全く同じ時なんてない。
全く同じ人だって、全く同じ夢だって、全く同じ景色だってない。
私が今いるこの時間、場所は、きっとこれからも変わっていく。
それはどうしようもないことで……
でも私は望んでしまう。
ずっと…ずっと、先輩の隣にいたいと。
ずっとこんな風に笑い合っていたいと。
「ね、もう1回プロフィール書いてよ。」
「へ?」
先輩はイタズラっ子のような顔をして、自分の鞄から1枚の紙を出した。
1年前に書いた、『前の私』のプロフィール。
「違うことがあったら書いてよ。」
「いいっスよ。」
ふふっと笑って言うと、先輩は私にシャーペンを渡した。