僕はショパンに恋をした
「で、店にあったピアノがどうなったか、知りたいって訳か。」

『おやっさん』こと、四ノ宮さんは、俺の説明を聞いて、これまた端的に言った。

シオンは呑気に、きょろきょろしながら、麦茶を飲んでいる。

「あのピアノ、勝手に解体もできないからな。ピアノ業者に頼んで引き取ってもらった。」

「ただで?」

俺はぎょっとした。

「ああ。なんか古いし、よく知らない名前のピアノだから、金にはならないとか言ってたぞ。」

ちくしょー。

無知なピアノ業者か、質の悪い業者か、どっちかだな。

苦い顔をすると、四ノ宮さんは言った。

「何だ?ひょっとして良いピアノだったのか?」

さらに苦笑いを濃くすると、頭をがしがし掻きながら言った。

「そうか。俺はそういうことは、よく知らねぇからなぁ。何だったら、そのピアノ屋、教えるから、あたってみるか?」

俺はありがたく教えてもらうことにした。
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