僕はショパンに恋をした
一瞬、きょとんとしたシオンは、俺の後悔に気付いたようで、くすくすと笑った。

「そんな、しまった!みたいな顔しないで。僕がいじめてるみたいじゃない。」

俺は鼻の頭を少し掻いた。

「わりぃ…。」

そう言うと、頼んだカプチーノが運ばれて来た。

何を言って良いかわからず、とりあえずカップに口を付ける。

「青空がね。」

シオンが言った。

「青ければ青い程、遠く感じるんだ。」

「遠い…?」

「うん。空気が澄んで、透明で、空がずっと遠くに感じるんだ。」

俺は、じゃあと聞いた。

「雨の日は、空は近く感じるのか?」

シオンは少し笑って、答える。

「雨は空とつながってるからね。何か、空がそばにいるみたいで、結構好き。」

なんかよくわからない。

俺にはちょっと理解不能な感覚だ。

シオンはまた、ふふっと笑って、言った。

「雨も良いもんだよ。」
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