僕はショパンに恋をした
「…いや、だって、昨日知り合ったばっかで…、それに…。」

「それに?」

言いよどんだ俺に、シオンは根気よく返事を待った。

「…それに、俺、友達の定義が、…その、正直わかんねぇんだ。」

何、ぶっちゃけちゃってんだ?俺。

そう思いながら、さらに言った。

「そもそも、友達いねぇから、どんなんが友達なのか、…わかんねぇんだってば。」

これじゃあ、ガキの泣き言だ。

恥ずかしいったらありゃしない。

俺は頭を抱えたくなった。

シオンは、眉間のしわを解いて、少し笑った。

「あのね、今日食べた鯛焼き、美味しかった?」

「…は…?あぁ、うん。美味かった。」

何が言いたいんだ?

「じゃあ、一緒に缶コーヒー飲んだの、美味しかった?」

「ああ。」

じゃあと、さらに付け加えた。

「じゃあ逢ったばかりの僕と、こうして旅するのは、どうして?」

「そりゃ、なんだ、…その、あれだ。」

「友達だからでしょ?」

当たり前だというように、シオンは言う。
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