僕はショパンに恋をした
はやる気持ちをおさえながら、インターホンをならす。

ほどなくして、返事がインターホン越しに聞こえる。

『どちらさま?』

「あの、大橋ピアノの件で、お話を伺いにきました。」

『えぇ!あ、お待ち下さいね。』

そう言ったかと思うと、ガチャッと音がした。

30歳代後半くらいの女性が、玄関のドアをあけた。

「あらあら、大橋ピアノの事を聞きたいっていうから、電話でお話するくらいかと思ってました。」

かなり驚いた様だった。

「いえ、直接ピアのを見たかったので。よろしければ、見せてもらえませんか?」

なるべく、ゆっくり、丁寧に、焦らず頼んだ。

「いえ、ねぇ、それが…。」

嫌な予感がした。

彼女は、少し困った顔で、ごめんなさいねと、俺達に言った。

さらに彼女が次に話した事に、さらに唖然とした。

というより、とても悲しくなった。
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