僕はショパンに恋をした
「名古屋の中古ピアノ屋さんに、引き取ってもらったの。」

「名古屋…ですか?」

「ピアノ教室の方に教えてもらったのよ。中古ピアノをリニューアルピアノにしてるお店だそうよ。少し前に引き取ってもらったから、まだお店にあると思うわ。」

そう言って彼女は、店のパンフレットを探して持って来てくれた。

「あら、今日は定休日みたいだわ。明日にでも、お電話してみたら?」

「はい。ありがとうございました…。」

ふせった気持ちを抑えながら、少し笑って言った。

また振出しにもどってしまった。

斜め後ろのシオンを見ると、ただ穏やかに笑っていた。

「大丈夫。きっと見つかるから。」

シオンの言葉だけが、俺の心に響く気がした。
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