僕はショパンに恋をした
駅の近くに、その『あんかけスパゲティー』の店はあった。

うどんか!?と思うような太麺に、ピリカラの和風と洋風のあわせたようなあんが、たっぷりとかかっていた。

一瞬、かたまった。

すごい量だった。

(ぜって〜食えねぇ…。)

そう思ったが、結局、全部食べた。

美味かったのだ。

さっぱりしてるような、がっつりしてるような。

シオンも満足気だ。

そういえば、誰かと食事をして、楽しいと思ったのは、久しぶりな気がする。

というより、誰かと食べた記憶が、あまりない。

ふと思い出す。

霧野さんが、一度だけ作ってくれた、サンドウィッチは美味かった。

ひどく家に帰りたくなかった日。

家でご飯を食べても美味しくないと、愚痴を言う俺に、作ってくれた。

メニューには載ってないのに。

美味しかった。

本当に。
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