総長が求めた光 ~Ⅱ壊れた歯車~【完】
そんな人たちにあたしはこんな事しかできないのだろうか。
自分の無力さに腹が立つ。
自然とアキに回している腕の力が強くなる。
「腹を立てる必要なんかねぇよー?レナ。」
あたしよりも頭一つ分背が高いアキ。
腰に回る腕とあたしの頭に置かれた大きな掌。
その手はシンたちと同じく何かを潰すために使ってきた拳。
でも、シンたちとは違う何かを護るために使ってきた拳でもある。
その手は本当に温かくて、大きくて。
優しくなでられるたびにくすぐったい気持ちになった。
あたしにヒサとは違う安心感をくれる。