総長が求めた光 ~Ⅱ壊れた歯車~【完】
大きな一歩と大きな誤算
帰りたいっ・・・・・
あたしが泣き終ったのは空が朝日で明るくなり始めた時だった。
また蝉がうるさく鳴き始める。
夏の風があたしの髪をサラサラと遊ぶ。
もう・・・・
引き返せないところまで来てしまった。
今から起こることにシュミレーションなんて無意味に等しい。
だから今のあたしにできることは。
現実から目を逸らさず真っ直ぐ向き合うことだ。
「お兄ちゃん。」
「ん?」
「あたしね・・・・?」
あたし。
帰ろうと思う。
また迷惑をかけるかもしれない。
足を引っ張るかもしれない。
それでも。
やっぱり一緒にいたい人たちだから。
一緒にいてほしい人たちだから。