先輩とあたし【完】
「そんな!!私こそ先輩にいつも元気もらってますよ!!」私は笑顔で喜村先輩に答える。
「田鍋…」先輩はその場に立ち止まって真剣な顔で私を見てきた。周りはどんどん私たちを追い越していくのにそんなのには目がいかない。
先輩の真剣な瞳に吸い込まれそうになる。
「先輩…?」私は先輩に近寄る。
「俺、田鍋のこと好きなんだけど」
「ぅえ?!」私はびっくりして変な声が出てしまう。咄嗟に口を押さえても遅くて彼の耳にはその変な声が入ってしまったようだ。
「ぷっ」喜村先輩は吹き出して笑っている。
「なんだよ、その腑抜けた声は。田鍋おもしれーな」先輩はクスクス笑いながら前に進んでいく。
「先輩…ほんとですか?」私は先輩の前に立って尋ねる。
「ほんと。最近、気になってたけどようやく分かったよ。お前が好きだってこと」笑顔で話す先輩に目が離せない。
「私も…私も、先輩が好きです!」顔を真っ赤にさせながら言えた一言。
「まじで!?じゃあ、俺と付き合ってくれる?」
「私でよかったら付き合ってください」私は照れながら先輩に頭を下げた。
「当たり前だろ。俺は田鍋が好きなんだから」私は先輩の自転車の横に立って先輩と歩き始めた。