先輩とあたし【完】

「おー伊織ちゃーん。何してんの~?」さっきの出来事なんてなかったようにチャラチャラした稲森先輩が用事をしている私の隣に座る。

「何って洗濯物畳んでるんですよ。ってか先輩何してるんですか?!20分前に始まってますよ。」稲森先輩を睨み付けながら抗議する。

「んーいろいろーヒヒ」小学生みたいに笑うな。この人は…
「先輩、私よりはよ来てたのに。早く練習混じってください。」洗濯物を両手いっぱいに抱えて部室の中に入る。先輩もなぜかあとに続いて入ってくる。

「あっ!!」落ちそうになる洗濯物をしっかりキャッチしてくれた稲森先輩。
「絶対落とすと思った。居ってよかったやろ?」
「別にー」私は恥ずかしさを隠しながら少しずつ先輩から洗濯物を受け取って直す。

「ほっんま素直ちゃうんやからーありがとう言えばええのに。そんな素直ちゃうかったらいつまで立っても彼氏でけへんでー」
「その心配はありません。今日、彼氏ができました。」自慢するように両手を腰に当てながら呟く。
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