先輩とあたし【完】

痛そうな顔を我慢して噛み締める。ほんとは爪があたってすごく痛い。
「別れろよ」その女は私を壁に押し付ける。
「別れません。私は先輩が好きです。先輩も私を好きだって言ってくれます」
「ふざけんなよ」今度は座っている先輩が私を怒鳴り混む。

「俊哉は私たちのものなんだよ!!」
「俊哉先輩は物じゃないです」私は精一杯、前にいる女を睨みつける。
「私、逃げませんから」泣きそうになるのをこらえる。

「ふっお前なんか俊哉の気持ちは掴めねーよ」最後に手を踏んづけられて先輩たちは去っていった。
思っていたより辛くて辛くて苦しい…。
踏んづけられた自分の手を見つめる。赤くなっていて小さな石がいっぱいついている。

「痛くない…痛くないよ、自分」自分の手にそう告げて保健室で氷をもらって教室に戻った。みんなになんかあったか聞かれたけどロッカーで手を挟んだと嘘をついた。

どんくさいなーそう言ってみんなは笑っていた。私もそれにつられて笑っていた。
部活に行く前にロッカーを除くと手紙が入っていた。
“今日のこと俊哉や他のやつに言ったら何しよっかなー”
それだけ書いた手紙だった。私はその手紙をびりびりに破って捨てた。

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