先輩とあたし【完】
「いーおりちゃん」寝ているはずの稲森先輩が私の名前を呼ぶ。恥ずかしいところを見られたのかと思うと急に顔が熱くなる。
「先輩、寝てませんでしたっけ?!」私はみんなを起こさないように通路側に体を出して先輩に話をした。
「今、目覚めた」ニヤニヤする先輩を睨んでやった。
「どうせ見てたんでしょ」私がぷいっと顔を背けると私に手と手を重ねた手を差し出してきた。
「なんですか?」私が不思議そうに先輩に尋ねる。
「どーぞ」そう言って手を開けば可愛らしい飴ちゃんが1つ。女の子が思わず可愛いと言ってしまうような…そんな飴ちゃん。
「可愛い…飴ちゃん」私は先輩の手からその飴ちゃんを受け取った。
「元気が出る飴ちゃん。って俺の妹が言ってた」そう言いながら少年のように笑う先輩を不覚にもかっこいいと思ってしまった。隣には彼氏が寝ているのに…。