通り道
と、窓に近寄ると、何かが窓を叩いた。

ドーン!ドーン!

俺はその場に固り動けなかった。

何故なら窓を叩いていたのが人の手だったからだ。

ここは2階。

有り得ない。

が間違なくない人の手だ。
その手を良く見ると、コケの様な物が付き、緑色になっていた。

それに小指と親指が無い。

数秒して、その手は、ズルズルとゆっくり下に落ちて行った。

ベトッ!

下に落ちた。

俺は勇気をだして窓を開け下を見た。

何も無い。

だが、そんな筈は無い。
確かに窓を叩き、下に落ちた音もした。

目を擦りもう一度良く見た。

が、やはり何もない。
窓を閉め布団に潜った。
何なんだ?今のは。絶対何か居た。絶対何か居た。

体を丸め、朝が来るのを待った。

朝、

母が部屋を出たら俺もすぐに部屋を出た。

母さん、母さん!

わっ!

ビックリした。
ひでちゃんか。ひでちゃん、おはよ。

また出た。

何が?

幽霊に決まってんだろ!でも昨日のは、幽霊じゃないかも。

母は、またか、と笑った。

真面目に聞けよ!この家は何か居るんだって!
階段も、いつも誰か居る様な気配がするし、なんか不気味なんだよ。この家は!!

母の顔が急に険しくなって、

私も階段は、誰かが居る様な気が、たまにする。

だろ!

婆ちゃんに聞いてみようか。

この婆ちゃんは、母の母さんで霊感が強いらしかった。

あっ!お兄ちゃんの学校に遅刻する。
ひでちゃん、この話は帰ってからね。

母は兄を学校に送りに行った。

夜、兄を連れて帰って来たは母は、すぐに俺の部屋に来て婆ちゃん家に行こうと言った。
車の中で母は俺に言った。

実はね、母さん階段の他に怖い所があるの。
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