通り道
母は自分の手を見ながら呆然とした。

何?どした?

母が触った所を俺も触った。

うわっ!何?これ。

なんと武士が踏んだ場所は、グッショリ、
と濡れていた。

俺はその夜、下の部屋に布団を敷き眠った。
次の日の夕方、一人で家にいると母達が帰って来た。

ただいま。

今日は早いね。

うん。今日は雨が降ってるから部活が休みなんだって。

良かったじゃん。早く帰れて。

うん。ラッキー!ラッキー!
今日は久し振りに3人でご飯にしよっか!

ねっ!ひでちゃん。

別に良いけど。

あっ!母さん病院行ったん?

ううん。忙しいし、行ってない。

ふ~ん。早く行った方が良いんじゃないか?
わかったよ。ひでちゃんが心配するから
今度行ってみるね。

誰が心配するか!

俺は部屋に行った。

今までは、この時間は怖くなかったが、今となっては怖い。

すぐ下に戻った。

晩ご飯が出来、久し振りに3人でご飯を食べる。

おい、貴司。

はぁ?

お前何にも感じんのか?

何を?

階段とか、

だから何を!?

人の気配とか無気味な感じとか。

そんなもん無い。

私も、お兄ちゃんに聞いたんだけど何も感じないんだって。

お前鈍いから感じんのんやろ!

うるせー!黙って食え!

まぁまぁ仲良く食べよ。
ねっ!

ご飯を食べ終わり、一階には、母と俺だけになった。

母は後片付けをしていた。

母さん2階で寝て怖くないん?

う~ん。怖いけど、ひでちゃんみたいに幽霊に会った訳じゃないから、そこまで怖くないよ。

ガチャガチャ!

玄関が開く音がした。
ドンドンドン!

大きな足音がした。

バッと

ドアが開いた。

父だ。

お帰りなさい。

父は雨に濡れたのか、ビチャビチャだ。

父は黙って風呂場に向かった。

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