通り道
やっぱ寝とる!おい!起きろ!

顔をビンタした。

わあっ!

ビックリして飛び起きた。
はよ準備して出て来い!

小さな声で言った。

ごめん。すぐ行く。

ヒロシの家の前で二人で煙草を吸ってヒロシを待った。
おせーな!もう2時だぜ!もうちょっとで夜が明けるぞ!

しばらくするとヒロシが服を着替えて窓から出て来た。俺はヒロシを思いっ切り蹴った!

ワリャ何寝とんか!

ごめん。気付いたら寝てた。ごめん。

お前のせいで時間が少なくなったから、お前ん家の車出せ。

えっ!?マジで?

当たり前じゃボケ!盗みに行く時間ねーだろが!ちゃんと返すから、すぐ鍵持って来い!

わかった。持って来る。

静かに家に入り車の鍵を持って来た。

よし!行くぞ。

そう俺たちは夜、家を抜け出し人の家から車をパクリ乗るのが最近覚えた遊びだ。
いつもなら、乗るだけ乗ってガソリンが無くなるか朝になったら、適当に盗んだ車を捨てて家に帰っていた。
昨日はトンネルの中で捨てて帰った。だが今日はヒロシの家の車だから返さないと、まずい。

すぐに俺達が疑われそうだからだ。以前、ヒロシの父親にバイクを盗んでいる所を見付かったからだ。

今日は早めに切り上げて車を返すから心配すんなよ。

と、俺はヒロシの肩を叩いた。

さっ出発だ。

運転はヒロシにさせた。俺とヨシオは指紋が残らない様に手袋をして車に乗った。
ヒロシ、ぶっ飛ばそうぜ!
気分良く出発した。

俺達はまだ中学二年だが結構車に乗っていたから運転は意外と上手かった。

調子に乗って遠くまで来たせいで気付いたら朝の6時だった。

やべぇな。お前ん家の親起きてんじゃねぇか?

見付かったら本気でヤバイ!
今にも泣きそうな顔をして言った。

そんなヒロシを見てヨシオが

なんとかなるさっ。

ヒロシの家に着くと、まだ誰も起きてない様だった。
ラッキー!ギリギリセーフだな。

うん。

静かに車を駐車場に入れて、3人とも車の外に出た。

ふぅ。なんとかなったな
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