通り道
俺は何度も話したのに信じてもらえない。
むしろ、寝ぼけていたと笑われた。
また夜が来た。
俺は一人で寝るのが怖かったが、誰かに一緒に寝てくれとは、恥ずかしくて、言えなかった。
夜が来ると毎日怖くて、たまらなかった。
特に階段が怖かった。
昼間でも階段を上がる時、下から誰かが居る様な気配を感じていた。
でも目玉を見た日から、しばらく何もなかった。
中学二年も終わり、来月から三年だ。
貴司は来月から高校生だ。
だが、家から車で一時間近く掛かる。バスだと二時間。
母は兄が朝早く夜遅い生活をするのが可哀相だと言っていた。
母は兄を毎日送り迎えすると言い出した。
俺は反対した。
貴司の為に、そこまでする必要あるんか?
だって部活も勉強もあるんだし、少しでも寝かしてあげたいじゃん。
母さんは疲れんのかよ。毎日送り迎えして。
大丈夫!本当に疲れたら、たまにはバスで行ってもらうし。
貴司!母さんに、あんま無理させるなよ。
貴司・…。
おい、聞いとんか!
ひでちゃん、ええんよ。母さんが勝手にしてるだけだから。
わかった。無理すんなよ。
うん。ありがとう。