過去より、もっと良い恋をあなたと・・・

『謝る代わりに〈俊〉って呼んでよ。』

五十嵐の顔が寂しそう。

でも、呼べないよぉ・・・

私が泣きそうになっていたことに気づいてくれたのか、

『愛菜、ゴメン。無理に呼ばなくて良い・・・』

五十嵐は私をスッポリと包むように強く抱きしめながら謝ってくれた。

謝らなきゃいけないのは私なのに・・・

どうしてアナタが謝ってるの?

『ゴメンナサイ。私がいけないのに、謝らせて・・・』

優しい声で答えてくれた。

『気にすんな!愛菜は、あの出来事で辛い思いをした分、他の人に甘えても良いんだよ。』

アナタは私が1番欲しい言葉をくれるんだね!

ありがと。

『真海にも、この話しなくちゃだよね。』

仲が悪かったら話す必要の無い事だけど、真海は仲が良い子だもん!

勇気を出して話さなくちゃ!!

『無理すんなよ。俺も一緒に居てやろうか?』

その方がきっと心強いだろうね!

でも・・・

『ううん!私1人で真海に説明しようと思うよ。』

『大丈夫なのか?』

五十嵐は心配性なのかな?

物凄く心配してくれてるのが伝わってくる。

顔に出ちゃってる?

少し、いやとても怖がってることが・・・

『そんな顔してるから、1人で平気なのかって言ってんだよ。』

やっぱり。

顔に出ちゃってたみたい(笑)

私って嘘つけないタイプ?

自分のことだけど、初めて知ったよ!

『お願い。』

少しだけ、甘えさせて下さい。

『一緒に真海のところに行ってくれない?』

あの出来事を話す時だけでも良いから・・・

『行ってやる。てか、頼まれなくても行くつもりだった(笑)』

『えっ?ホントに!?』

『嘘!愛菜の決意を揺らしたくないし。』

やっぱり優しい。

私は今まで、こおゆう優しさをくれる人を求めていたのかも知れない。
< 10 / 86 >

この作品をシェア

pagetop