過去より、もっと良い恋をあなたと・・・

バタンッ

私は思いっきり屋上のドアを開けた。

その音にビックリしたのか、誠人は立ち上がった。

『愛菜!?』

そして、私は誠人の胸に飛び込み、

『うぅぅ、誠人・・・』

誠人は少しよろけたが、私をちゃんと受け止めてくれた。

初めは泣いている私に理由を訪ねた誠人だが、答えない私を見て聞くのをやめた。

私の気持ちを分かってくれたのだろう。

今は話したくない・・・

30分後。

やっと泣き止んだ私は、誠人の腕の中から少し離れた。

『愛菜、気済んだ?』

心配そうに私の顔を覗く誠人。

『うん!ゴメンネ、急に・・・!?』

誠人は私の手を引っ張り、私を抱きしめた。

『何が合ったの?』

誠人・・・

『何にも無いよ!』

誠人の腕に更に力がこもった。

『嘘!オレに言えないことなの?』

言えるよ!

でも、アイツの話をして誠人を不安にしたくない。

『言えなくない!でも・・・』

『でも?』

『誠人が傷つくかも、知れない。』

私もさっきよりもっと強い力で誠人を抱きしめた。

『私は、誠人に傷ついて欲しくない!!』

誠人は小さく笑った。

『大丈夫。オレ、そんな弱くない(笑)』

と言いながら私の頭をポンポン叩いた。

『知ってるでしょ?』

『うん・・・』

スゴク知ってるよ?

誠人がビックリする位、知ってるつもり。

でも、ソレは心の問題では無い・・・

『だから、オレに話して?』

誠人の真っ直ぐな視線が私を捕らえた。

『絶対に気にしないって約束して、くれる?』

迷い無く、即答した誠人。

『当たり前じゃん!』


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