5つの欠片
「......やだじゃないの、ほら入るよ。」




一瞬怯んだけどなんとか理性を持ち直して、ちづちゃんを促す。
立ってるのもおぼつかないのに...
もっと、自分大事にしてよ...




抱きついてくるちづちゃんを座らせてヒールを脱がす。
毎日履いてる黒いヒールは踵がすり減ってる。
俺が想像できないぐらいストレスが溜まってるのはなんとなく気づいてた...





いったんソファに座らせて、回していた腕を解いた。
水を取りにいくために体を起こすと、ちづちゃんの手が俺の腕を掴んだ。



びくっとして振り向くと、火照った頬でうるうるした瞳で見つめられた...




「...どこ...行くの?」



「水、持ってくる」


「いらない...」



「...だめだよ、ちゃんと飲まないと」



「...やだ、ここに居て...?」





掴まれてたシャツがよりぎゅっと握られた...
酔ってるせいか分かんない...
だけど、ちょっとだけ指が震えていた。





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