5つの欠片
「ちづ...言うこと聞いて......すぐだから...ね?」



ちづちゃんをぎゅっと抱きしめてそう言ったら、やっと手を放してくれた。




店長に痛いほど言われてる...
ちづちゃんには、絶対に水を飲ませないといけないって。




あんなに飲むのが好きなのに、お酒が体質に合わないらしい。
水をちゃんと飲ませないと、翌日にはほぼ100%発熱する。




ここまで酔ってない時はちゃんと自分でセーブするんだけど、年に2、3回こうやってどうしようもないぐらい飲んで我を忘れる...




今までは絶対家だったんだけど...
今日はよっぽどなんかあったの...?




俺は急いでコップにミネラルウォーターを注ぎ、ソファに戻った。
そこには今にも寝そうなちづちゃんの顔。




「...っちょっと、ちづちゃん寝ちゃだめだよ」




慌てて体を揺らすと、半分だけ口を開けた。
涎が落ちそうになって、慌てて舌で掬う。




「ふふふ...ありがと、大地くん...」



「良い子で待ってたから、ご褒美...」




俺はそっとちづちゃんの唇に唇をつけた。



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