5つの欠片
「ちゃんと飲んだらやったげる...」



俺はグラスの水を確かめて言った。
まだ半分ぐらいしか飲んでない。



ちづちゃんは小さく頷くと、自分から少し口を開けた。
覗き見える舌が美味しそうで、絡ませたい衝動に駆られる...



さっきみたいにならないようにゆっくりと水を流してやる。
また、ごくごくと動く喉...





いつものちづちゃんからは考えられないぐらい無防備で、甘えん坊で...
そんな姿が愛しくて仕方ない。





他の誰にも見られたくない…
俺だけのちづちゃん...





グラスから水がなくなって、グラスをテーブルに置いた瞬間に、ちづちゃんの首に手を当ててぐっと引き寄せた。



ふわっと舞った髪の毛からフローラルの香りが広がる。
ちづちゃんの肩に頭をおいて、優しく頭を撫でた...




「...偉い?」


「ん...偉いね」


「んふふ...あったかい...」





そう言ったちづちゃんの体重が急にズシッと重くなったのが分かった。




...まさか、寝ちゃった?





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