5つの欠片
「......だいちくん...?」



ちづちゃんの声が遠くから聞こえてきて、夢の世界から連れ戻された。
目を開けると、真ん前にちづちゃんの顔が見えて、無意識にチュッてキスする。




「......っん...」


「ちづちゃん、おはよ...」




知らない内に寝てたんだ...
いつ寝たんだっけ?
全然覚えてない...



朝陽が窓から差し込んで、ベッドを照らす。
いつもの景色が広がった。



「...おはよ。ねぇ、放して?」



見ると腕の中にちづちゃんがすっぽりはまってて、抜けれそうにない。
なんだよ...
昨日はあんなに寄ってきたくせに...



「やーだ」


「どうして?仕事遅れちゃう...」


「いいじゃん、まだ大丈夫でしょ?」


「そんなことない...っ痛」



ちづちゃんはそう言うと頭を抑えた。
その言葉にはっとなって、ちづちゃんのおでこに自分のおでこをくっつける。
良かった...
熱は出てない...




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