5つの欠片
「顔見せてよ...
 俺の顔見たかったんでしょ?
 俺だってちづちゃんの顔見たい...」




片手でちづちゃんの顎を上げると、ようやく目が合って見つめられた。
笑ってみせると、つられるように笑ってくれる。




はっきりとした目鼻だち。
笑ったときにできるえくぼ。
ちっさな耳、赤い頬...




ぷっくらとした血色の良い唇...




順番に触って、最後だけ唇で触れる...




「ごめんね、大地くん...
 迷惑かけて...」



ちづちゃんの申し訳なさそうな声が届いた。
また、そうやって言う。
もう何年一緒に居ると思ってんの?




「迷惑なんか思ったことないよ。
 いつも言ってるでしょ?
 俺がやりたくてやってるの...」



「...うん、ありがと...」



「いっつも酔っててくれてもいいぐらい可愛かったよ?」



「え...何かしたの?...あたし」





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