5つの欠片
「あ.........ゆら...」



廊下で見つけた結羅は、男と楽しそうに話をしていた。
結羅が振り向きそうになって、咄嗟に曲がり角に隠れる。




誰だよ、あいつ...



いや多分、ただの同僚だよな…
頭ではただの同僚だって分かってる。
分かってるつもりなんだけど...



心の中がモヤモヤして、治まらない。




曲がり角から廊下を覗くと、妙に安心した表情で楽しそうに話す結羅。
1つに束ねられた髪の毛がゆらゆら揺れる。




話してる奴は、大体結羅と同じぐらいの年かそれより上…
ふわっと浮かせた黒髪が似合う、大人の男。




容姿も整ってて、時々結羅に合わせて笑う表情が柔らかい。
いかにも良いお兄さんって雰囲気が遠くから見てても伝わってくる。




なんだよ…
結局、ああいう奴が良いのかよ…




俺の前じゃあんまり見ないような表情をする結羅が気にくわない。
いかにも安心しきってて、楽しそうで…





滅多にあんな風に笑わないくせに…





誰がどう見てもお似合いって感じがして、心臓がキリキリと痛む…
どうしようもない嫉妬がぐるぐると渦巻いて気持ち悪かった。






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