5つの欠片
会話までは聞こえない。
だけど、近づいてくる結羅の足音で会話が終わったことが分かった。




ちらっと覗くと、目の前に結羅の細い腕が見えて抑えきれずに掴んで引っ張った。




「……っ………ん…」




声をあげそうになった結羅の唇を塞いで、細い体を折れそうなぐらい強い力で抱きしめる。
結羅が必死に抵抗して、腕の中でもがいていた。
でも、そんなの関係なかった...



さっきの男、誰…?
あいつのことどう思ってんの?




いっつもあんな顔して話すの?
あんな風に笑うの…?




脳裏にさっきの楽しそうな2人の姿がちらついて、乱暴な気持ちが自然と増す…
必死に体を離そうとする結羅の口に舌をねじこもうとした。




だけど、結羅がなかなか素直に入れさせてくれない。
仕方なく片手を背中から外して顎を押してむりやり開け侵入させた。




俺の舌を嫌がるように逃げる結羅の舌。
まるで鬼ごっこのように追いかけるとすぐに捕まえた。




なんで嫌がんの?
さっきの男の方がいいってこと?




ムカつく…
なんで、俺に見せる表情とあいつに見せる表情は違うだよ…...








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