5つの欠片
頭の中で渦巻く不満が次から次へと出て仕方なかった。
抑えきれない、そんな余裕なんてない…




結羅に対する不安が大きすぎて、その不安が不満を加速させる。




初めて会って、好きになって、結ばれて…
だけど、いっつも心の片隅でずっとずっと思ってた…




俺は結羅を受け止めきれるのか…
結羅が俺を頼ってくれるのか…




こんな年下の男で満足してくれるのか…




情けないけど…
この感情だけはどうしても消えなかった…




結羅はめったに俺を頼らないし、あんまり甘えてもこない。
俺がして欲しいことは言わなくても分かってくれて、対応してくれて。





なのに俺は………




俺は……





突然、結羅の髪の毛が下されて、冷たい手が俺の頬を包んだ。
窮屈な俺の腕の中で結羅が必死に手を伸ばしていた。




頬が冷たさを吸収して、夢中で絡めていた舌が自然に止まった…
まるで熱さまシートのような手が、俺の頭を冷やしていく…




結羅の髪の毛からいつものシャンプーの匂いがして、香りが俺を包み込んだ。
まるで赤ちゃんがお母さんに抱っこされたような安心感が心を静めていく。





結羅はゆっくりと優しく頬に手を添えたまま、俺の唇から唇を離した。






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