5つの欠片
俺は手短にメールを返すと、パタンと閉じてテーブルに置いた。
ぱっと窓の方を見ると、丸テーブルの上にある花瓶が目に入る。



いつも栞が来たときに活けてくれる色とりどりの造花や生花。
月日の経過を示しているかのように、生花が枯れてしまっていた。




イマイチ良くわかっていない俺は、いっつもこうやって花を枯らせてしまう。
水も滅多に変えたりしない。





また、栞になんか言われそうだな…
まぁ、怒ってる顔も可愛いからいいんだけど。




俺はいつものように近くにあるメモとボールペンを持つと、さらさらっと言葉を書いて花瓶の下に挟んだ。



今日はやっと栞がうちに来る。
何日待ち続けた?
もう、ほんとに忘れてしまうほど会えてなかった。





このメモは栞が来るときの約束。
最初に玄関のドアの内側に貼りつけていった時は、まさかの気づかれないというオチで...




あの日以来、栞が必ず触るこの花瓶の下に置くことに決めた。



ふふ...栞喜ぶかな…?
前好きっていってたから、わざわざ買ってきたんだよ。





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