5つの欠片
俺が笑ってみせると、栞もやっと少し笑ってくれた。



そうだよ…
泣き顔も好きだけど、やっぱり栞には笑ってて欲しい…



透明で繊細な笑顔…
この笑顔に弱いんだ…



まるで栞の周りだけ優しい空気が流れてるような
ふわふわしたシャボン玉につつまれてるような…




たまらなく幸せになる…





俺はそっと栞の唇に唇を重ねた…
深く…深く…
何度も角度を変えて栞を求める…




「…っん……」




栞が言葉を漏らして、俺のシャツを強く握る…
ゆっくり唇を離してやると、栞は切ない表情でゆっくりと目を開けた。




「信じてくれた…?」



「…うん……ごめんね、峻くん…」



「なんで?俺、なんにも謝られるようなことしてないよ…」




「…うん………ありがとう……ありがとね………」





俺は栞の頭を掴んで肩に乗せさせた。
少しずつシャツが濡れていくのを感じた……





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