5つの欠片
「栞…大丈夫…?」




峻くんの手が背中でポンポンと良いリズムを刻む。
優しくて安心するリズム…
大きな手で守られてるみたいで、震えが止まっていく。





あたしにはこの手が必要だと思った…
この手が無くなるなんて、考えられない…




小さく頷いて、峻くんの胸から頭を離した。
峻くんの手があたしの両肩に乗せられる。
キラキラの目に見つめられて、体が固まる…





「ほんとに?」


「…うん。…ごめんね、大丈夫。」





ゆっくり顔が近づいてきて、自然と唇が重なる…
優しすぎるそのキスにまた泣きそうになって、必死で堪えた。





「栞…好きだよ…」





甘い声が…
大好きな声が耳元で囁かれて…
吐息が当たる…




胸がきゅーっと締め付けられて、心臓がドキドキと鳴りだす…
体が全身で教えてくれる。





あたしはあなたが好きなのだと…




ごめんね…峻くん…
あたしも大好きなの……



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