5つの欠片
不思議そうなまん丸の目に見つめられる。
全部見透かされてしまいそうで咄嗟に目をそらした。




ドクンッ…ドクンッ…




大きな音が体の中で響く。
不意打ちみたいに囁かれて、いつもより心臓が動揺していた…




「ね、なんでそらすの?」


「…何を?」


「分かってるクセに…」




そう言いながら峻くんの掌があたしの顔を捕まえる。
そっと包み込まれて、くいっと上にあげられた。





「…こっち見て」




視線が熱い…
なんて力強い目なんだろう…
キラキラ光って、宝石みたい…




「そ、可愛い…」





峻くんはそれだけ言うと、頭を撫でてから手を背中に移動させた。
峻くんの頭が肩に乗って、さっきよりも体が密着する…





鼓動のテンポが速くなったのが分かる…
さっきより何倍も…





本当に聞こえちゃいそう…





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