5つの欠片
午後の仕事は実はあんまり覚えてなくて、気がついたら帰りの車に乗ってた。
横でマネージャーが明日の時間確認をしてる。




「じゃあ、明日は12時に迎えにくるから。」



「…うん。また、メールして?」



「なんで?だから12時だって…」




マネージャーがまだ何か言ってたけど、聞かずに車を降りた。
今、何を言われても覚えられそうになかった。




エントランスを抜ける時に壁にかかっている時計が目に入った。




明日が今日になっちゃった…
莉央…帰ってくるんだよね…?




時計が差してる時刻はもう1時。
だけどまったく眠くなくて、むしろ頑張っても寝れない感じだった。




部屋に入って、電気をつけて、荷物を適当に置く。
俺は一目散に冷蔵庫に向かうと、あるだけの缶ビールを全部持ってソファに移動した。




プルタブを開けて、水のように流し込む。
急に体に冷たい液体が流れて、ビールが辿っていく道だけが冷えていく。





もう酔っていっそのこと何も考えたくない…





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