5つの欠片
乱暴にされるんじゃないかって思ってた。
初めて海外出張が決まった時、まぁくんはいつになく乱暴だったから。
だけど正反対で、まぁくんの行為はまるで壊れ物を扱うかのように丁寧だった…




甘い時間が流れていく…
1分、1秒が大切で、いつもこの時間が愛しすぎて永遠を願ってしまう…




思わず決心が揺らぎそうになる。
1ヶ月間、あなたを感じることはできない。
こんな風に、大好きな香りに包まれることもない。
きっと時差のせいで、甘い声を聴くことも叶わない。




あたしは……










その時、夢中になっていた唇が急に離された。
目を開けると、まぁくんが切ない笑顔でみつめてる。
その笑顔は…反則だよ…





「ねぇ、りおちゃん…」


「ん…?」


「俺がいなくて平気?」


「……………」





胸が熱い…
平気ってそう言わなきゃ…
平気だよって笑わなきゃ…




頭では分かってるのに、言葉が追いつかない。
困らせたくないのに……





下を向いたあたしの唇に、まぁくんがそっと軽くキスを落とした…
触れた熱が必死で守ってた強がりの壁を一気に溶かしていくのが分かる。
まるで魔法みたいに…







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