5つの欠片
「大丈夫だよ!」



呑気な顔でそんなことをいう詩。
まったくこいつはなんもわかっちゃいない。




「なぁにが大丈夫だよ?また先輩んとこ泊まろうとか考えてんじゃないでしょうね?」




俺の言葉に動揺したのか詩が急にゲホゲホと咽た。



「っそ…そんなことしないよ。」



なにそんな焦ってんだよ。



「当たり前だろ。動揺しすぎ。」



「…だって、和くんが変なことゆーから…」



「変なことってなに?詩が実際やったんでしょうが」



「…ごめんなさい。」





まったくこいつは…
ほんとになんにも考えちゃいないんだから…





「今度やったら、あんなもんじゃ許さないからね?」





最後にもう1回釘をさして、詩を引き寄せた。
ちっさくて軽い詩はまるで空気みたいに膝の上に座った。





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